森田博康さんのラジオ
長野県佐久市の緑の牧場学園で暮らす森田博康さんは、これまで大量の衣類を破いてきました。トレーナー、ロングTシャツ、デニムパンツ、靴下など。ときに縫い目を手がかりに、ときにど真ん中から大胆に。福祉現場では問題行動とされる「破衣行為」。服破りのことですが、2017年に長野県内の公募展「ザワメキアート展」に参加したことをきっかけに、スタッフの間で新たな「まなざし」が生まれることになります。言葉でのコミュニケーションを主としない森田さんのこの行為は、見方を変えれば何か大切なことを伝えている「表現」なのかもしれない、と。
現在、森田さんを担当するスタッフの山口貴史さんは、「今年(2019年)に入ってから破く行為がなくなったんです」と語っていますが、その理由は定かではありません。「自室にテレビを設置したから、破く行為に関心が向かなくなったのでは?」という説もありますが、何かがきっかけとなりこの行為をする必要がなくなったとも考えられ、想像は膨らむばかり。「ピーク時は1日1枚以上」という行為が「パタンとなくなった」というのだから、この「変化」をどう捉えるかは、実に興味深いです。この番組では、森田さんの行為にまつわる山口さんをはじめとした複数のスタッフの証言をもとに、「表現が後退するその変化の意味」について考えます。
※本ラジオ番組は2020年1月11日から15日まで、Rightsが東京芸術劇場で実施した「まなざしラジオ!! in 芸劇」の会場内で放送されたものです。会場の様子やラジオの詳細は、厚生労働省 令和元年度障害者芸術文化活動普及支援事業 南関東・甲信ブロック 広域センター 東京アール・ブリュットサポートセンターRights 報告書「まなざしラジオ!!」をご参照ください。
■森田康博さんのラジオ01 オープニング
■森田康博さんのラジオ02 なぜ服破きはなくなった?
■森田康博さんのラジオ03 問題行動がアートとして
■森田康博さんのラジオ04 いざ!森田さんの自室へ!
■森田康博さんのラジオ05 スタッフ間で飛び交う憶測
■森田康博さんのラジオ06 スタッフ山口さんのまなざし
■森田康博さんのラジオ07 スタッフ吉田さんのまなざし
above / photo by Itsuka Yonezu
below / photo by Junichi Takahashi
POST:2020年4月28日