【レポート】都内で行われているワークショップ「体を奏でよう!」を取材しました

昨年12月、Rightsはワークショップ「体を奏でよう!」を取材しました。

品川区にある、地域活動支援センターしゅくが企画するダンスプログラムです。

そこには、障害のある参加者をはじめ、講師となるコラボレーターやスタッフ一人ひとりが思い思いに表現を楽しむ時間が流れていました。

ここでは、その1日のレポートをコラボレーターやスタッフの声とともにご紹介します。

身体や音で楽しむ ⇆ 活動をふりかえる

品川区にある障害児者総合支援施設ぐるっぽ(愛称)を拠点とする地域活動支援センターしゅくは、様々なワークショップを企画しています。

そのワークショップのひとつ「体を奏でよう!」は、楽器や身体を使ってダンスや音を楽しむものです。コラボレーターの新井英夫さんと板坂記代子さんが参加メンバーに話しかけるように数種類の楽器を使って音を出していくところから始まり、2人に呼応するように、メンバーも楽器や声でリアクションを返します。新井さんと板坂さんは、鈴や大きな布を使いながら、その場に動きとリズムをつくっていきます。太鼓を持って近くの人に叩いてもらう動きをする人、天井からぶら下がる鈴を鳴らしながら会場を走る人、それぞれが好きな動きをしながらも、自然に流れが出来ていく光景が印象的です。

ワークショップの後は、新井さん、板坂さんとスタッフが集まり、細かにその日の振り返りをします。このプログラムのどんな要素をより深掘りし続けてみるか、次の回ではどんなことを取り入れてみるかを、参加しているメンバーが繰り出したちょっとした動きを参考に話し合っていきます。継続する中で、個々の新しい表現をみんなで引き出していく、そんな試みを垣間見るような時間となりました。

品川区立障害児者総合支援施設ぐるっぽ(愛称)
撮影:加藤甫

ともに場をつくる:コラボレーター 新井英夫さん(体奏家、ダンスアーティスト)、板坂記代子さん(ダンサー、モノあそびアーティスト)の声

活動中の新井さん(左写真・右)と板坂さん(右写真・左)

【新井】「表現」という言葉を使うと、自分の中から外に大きくアウトプットしなければいけないと考えてしまいがちです。けれど、僕は体験の多様なインプットが表現の第一歩だと思います。身体の五感を拓いていくところが、ひとつの可能性です。多様なインプットによって、アウトプットの可能性も広がっていくのではないでしょうか。

このワークショップは、何かの目的にすぐ向かうのではなく、まず面白いからやってみよう!という「遊び」の時間を受け持っていると思います。そういう時間があると、僕らやスタッフの方も予想もしなかったような反応もあって、その発見をワクワク共有しながらやらせてもらっています。

【板坂】「余白」や「無駄」とも言えますが、「実験」を大事にしていこう話しています。遊びの中でその人なりの良さや、表現みたいなものが少しでも出てくると嬉しいなと思います。

【新井】ワークショップはスタッフの方たちにも参加してもらっています。ここから普段の利用者さんとの関わりの中にフィードバックしていくという流れができつつあるので、それはとても貴重なことですね。スタッフの方たちも面白い方向に変わるし利用者さんもこの場を支える一員として変わっていく。継続しているからその循環が生まれてきている実感があります。

【板坂】スタッフの方たちも、私たちと一緒にワークショップのアイデアを持ち寄って毎回の場がだんだん育っていくのは、とてもありがたいですね。

活動のこれから:アサダワタルさん(社会福祉法人愛成会 品川区立障害児者総合支援施設ぐるっぽ コミュニティ・アートディレクター)の声

メンバーと演奏するアサダさん(右)

「しゅく」では、毎週2回表現のワークショップをしています。プログラムは、アーティストをはじめ、障害のある方の個性を一緒に伴走して引き出してくれるコラボレーターの方々と、スタッフができることを混ぜ合わせながらつくっています。身体表現以外にも、カメラマンの方が来て撮影会をするとか、本棚をつくるDIYワークショップなどもあります。

こうしたプログラムは、どうしても施設の中で完結しがちです。けれど、外に出る機会や関わりをつくっていくと、地域の方でも興味を持ってくれている人がそれなりにいることがわかりました。直接出会うことで、お互いが慣れ親しんでいくような感触があります。

今は地域の方に色々な形で協力いただいていますが、ゆくゆくはメンバーさんやスタッフも含め、僕らだからこそできることを探って、すぐにお金につながるということだけではない広い意味での仕事を地域でつくっていきたいなと思っています。

「表現をして楽しいな」というところから一歩越えて、仕事をすることと地域とつながることがもうちょっと密接になって、地域の人と日常的に触れられるような状況づくりをこの施設から発信していきたいですね。 

ワークショップ「体を奏でよう!」の1日に密着した映像を公開しています。

旧東海道品川宿を舞台に開催したRights主催のイベント「まちコラボ~踊りだす宿場街編~」の一環で制作し、街中に設けた会場で展示しました。

(関連)

「まちコラボ~踊りだす宿場街編~」

※ 「まちコラボ~踊りだす宿場街編~」に関するレポートは、「令和2年度 東京都障害者芸術活動基盤整備事業 東京アール・ブリュットサポートセンターRights報告書」(https://rights-tokyo.com/information0521/)に掲載しています。

レポート・インタビュー 文:室井舞花

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