◎レポート◎ オンライン企画 第3回座談会

障害のある方々の表現って?地域にひらいた芸術文化活動とは?地域とかかわるイベントからみえる未来って?など、障害のある方々の表現と地域をテーマに、Rightsが開催しているオンライン座談会。

アドバイザーと、各テーマについての知識や経験が豊富なゲストスピーカーとの熱いトークは必見です!さらに、参加者はチャット機能からトークに参加したり、トーク終了後にオープンする掲示板で思いを発信したりすることも。

「障害者の表現と地域」をテーマに連続してお届けしてきたこちらの座談会。最終回を迎えた今回は、「地域がかかわり行うイベントを通して感じることと未来につながること」を考えました。

今回の配信でゲストにお招きしたのは、酒井陽子さん(武蔵野アール・ブリュット2020アドバイザー / NPO法人ペピータ日中一時支援事業ペピータくらぶ 事業責任者)。

武蔵野の地で、ご自身の経験をきっかけに、支援の現場や多様性がテーマのイベントに関わられることになった酒井さんの変遷を伺いながら、障害のある方々を取り巻く人々や地域など周囲にも視野を広げて、障害のある人を支えるさまざまな仕組みを考えました。そして、地域で展覧会などのイベントを行う中で、届いたまちの声や反応、行政や文化、教育の関係者と築かれてきたネットワークを伺い、地域や社会に活動の場を広げていくための意見交換も行われました。

リアルタイムで制作していただいた、グラフィックレコーディングによる記録はこちら。

                        (グラフィックレコーダー:本園大介さん) 

これまでの座談会の記録映像は、応募者限定で公開中です。新たにご覧になりたい方も、見逃してしまった方も、どうぞお気軽にライツまでお問合せください。

併せて公開中のこちらのレポートもお見逃しなく!

https://rights-tokyo.com/zadannkai01-report/ https://rights-tokyo.com/zadannkai02-report/

【第2回座談会を終えて-アドバイザーからのコメント―】

大前提として、その場の規模、歴史、風土があって、一概に1つの事例が参考になるものばかりではない。今回の品川の愛成会の例と、武蔵野アールブリュットの2つの事例の2人の話から得られるところは、聞き手のみなさんにゆだねるしかない。

そして、どの現場、地域においても共通して言えるのは、タイミングや時間のかかることということに尽きるだろう。地域に拓くとはたやすくはなく、だからこそ実行する人の情熱があることが一番のポイントである。

そういう意味でも、酒井さんの動力の原点となる経験「自分を全否定された」ことが今回の話のハイライトだと感じていた。その経験は今の日本社会の課題を背景にしたものと思う。そこから紐解き、我がコトとして多くの人に興味を持ってもらうヒントがある気がしてならない。

時間をかけ、多くの人と関係をつくり、実施していく障害のある人たちとの協働というアート活動は、地域づくりの1つの手段としてあり、なぜ、その地域づくりをしていく必要があるのかという意図が根底に流れていることが理想である。

福祉の現場にいる人たちが、単に障害のある人たちの存在を知ってほしいということにとどまらず、地域の人たちの中にある何かとチューニングし、お互いにとっての未来に有益なことが見つけられるように、町のプレイヤーに福祉職の人たちがなれると、福祉が地域の真ん中で人を幸せにする循環が生まれるのではないかと私は願っている。

座談会アドバイザー:加藤未礼

(コミュニケーションデザイナー / おおきな木 代表 / 一般社団法人TalkTree代表理事)


第三回の座談会では、酒井さんという一人の人生の変遷を通じて、障害福祉云々以前に、個人が他者にのっぴきならない形で揉まれるなかで、「社会」を意識し、学び、学んだことを実生活に生かしてゆくプロセスが生々しく実感できる機会だったと思います。

酒井さんの人生観を知ってはじめて、障害のあるお子さんのいるご家族向けのワークショップを例とする「支援する人たちの支援」というテーマの大切さを感じることもできましたし、「制度に魂を込めるのは、自分たちである」という自覚を強く確認するべしだと思いました。

僕が尊敬するあるケアのプロフェッショナルが「地域(病院や施設だけでなく)にも治す力がある」と語りました。一方で、あるクリエイターが「地域にだって(障害の人を受け入れないという意味で)責任がある」と語りました。その間を埋めれないでしょうか。おそらくそのための語りの場が、この一ヶ月後にライツによって実施された品川での「まちコラボ ~ 踊りだす宿場街 編 ~」のオンライントークイベントだったと事後的に思います。

コロナ禍で、現場は疲弊してきています。酒井さんとの対話で、支援スタッフにもケアが必要だと強く感じています。どうしたって「開く」ことを立ち止まらざるを得ないこの時勢を、ただやりすごすのではなく、知恵と根っこの態度を養う時間がやはり必要です。本当に心から思います。「ゆっくりじっくり考えたい」と。 

座談会アドバイザー:アサダワタル

(文化活動家 / 社会福祉法人愛成会 品川区立障害児者総合支援施設ぐるっぽコミュニティ・アートディレクター)

【お問合せ先】

東京アール・ブリュットサポートセンターRights(ライツ)

(社会福祉法人愛成会 法人企画事業部内)担当:松山、玉村

Tel:03-5942-7251 / Fax:03-5942-7252 / Mail:kikaku@aisei.or.jp

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