勝山直斗さんのラジオ

13歳の勝山直斗さんが暮らすさいたま市緑区の久美学園には、壁一面に絵が描かれている部屋があります。絵を描くのが好きな勝山さんは、スタッフから鉛筆や画用紙をもらい、乗り物や動物、植物などを描くのが日課です。しかし、インフルエンザにかかったある日の晩、他の人と接触しないよう絵を描く道具がない状態で個室で過ごすことになり、唾液を指につけゴシゴシとゆっくり壁紙を剥がすという「創作」を開始しました。

 そこで生まれた「壁画」はとても優しい模様で、壁紙の層によって色合いも豊かになります。剥がした壁紙の断片は、丸めて宙に投げられ、粘着力が残った状態でそれらが天井に付着しています。畳にまで絵を描き出すなど、部屋全体が彼の表現で埋め尽くされるようになっていきました。その後は彼が過ごした部屋ごとにこの表現は広がり、いまでは5部屋に及んでいます。

施設長の柏田愛希子さんとスタッフの小川順子さんは、勝山さんの行為に対し、一方では問題行動であると認識しつつも、もう一方では「これはアートである」という「まなざし」を持って向き合っています。「他の方の居室でもあるので、消えていく可能性もある」と語りながら、「もしあの壁を外せるなら、一枚だけでもキープしたい」と語るその言葉は、日頃の支援の可能性を緩やかに広げていく希望に満ち溢れているのです。この番組では、施設長柏田さんと小川さん、そして勝山さんご本人に部屋を案内してもらいながら実施したインタビューを臨場感いっぱいでお届けします。

※本ラジオ番組は2020年1月11日から15日まで、Rightsが東京芸術劇場で実施した「まなざしラジオ!! in 芸劇」の会場内で放送されたものです。会場の様子やラジオの詳細は、厚生労働省 令和元年度障害者芸術文化活動普及支援事業 南関東・甲信ブロック 広域センター 東京アール・ブリュットサポートセンターRights 報告書「まなざしラジオ!!」をご参照ください。

■勝山直斗さんのラジオ01 オープニング

■勝山直斗さんのラジオ02 創作のあらまし

■勝山直斗さんのラジオ03 勝山さんと共にお部屋めぐり

■勝山直斗さんのラジオ04 壁紙コリコリ天井にまで飛ばす

■勝山直斗さんのラジオ05 表現が生まれたきっかけ

■勝山直斗さんのラジオ06 スタッフ柏田さんと小川さんのまなざし

photo by Junichi Takahashi

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