関根悠一郎さんのラジオ
幼い頃から絵を描くことも、オブジェをつくることも、庭を作り野菜を育てることも「当たり前にやってきた」という、現在20歳で山梨県甲府市在住の関根悠一郎さん。母親の涼子さんをはじめ、母方の祖父母が培った文化的環境の影響を受け、とりわけ多くの絵本や図鑑から創作の源を得ています。多彩な作風のなかでも「船」というモチーフが扱われることは多く、10代の間に数年かけて、実際に自分が乗れる船の制作を行いました。しかし、その夢を周囲から理解されず、また素材や道具、そして、今の自分の技術における理想と現実の遠さに悩むことに。17歳で「一旦完成」させたのち、絵を描くことも船をつくることも休み、現在はひたすら世界中から古道具を収集し、工法を研究する日々を送っています。
関根さんの大きな関心ごとは、「病を治す独自の方法」です。小学校高学年から幻聴と幻視が現れ、2010年にアスペルガー症候群、2013年に統合失調症と診断された彼は、独学で「森田療法」に辿り着きます。人間の心は、生の欲望と死の恐怖が表裏一体のものであるという考えに共感し、生の欲望に着目した思考への転換を図り続け、創作への向かい方も「何をつくるか」から「どうつくるか」という問いへと変化していきました。
この番組では、ときに病に苦しみ、ときに生きのびるための道を根っこから問い直し、「つくりかたからつくる」ことにこだわり続ける悠一郎さんの船にまつわるエピソードを中心に、彼の創作と治療にとことん寄り添う母・涼子さんの語りも交えてお届けします。
※本ラジオ番組は2020年1月11日から15日まで、Rightsが東京芸術劇場で実施した「まなざしラジオ!! in 芸劇」の会場内で放送されたものです。会場の様子やラジオの詳細は、厚生労働省 令和元年度障害者芸術文化活動普及支援事業 南関東・甲信ブロック 広域センター 東京アール・ブリュットサポートセンターRights 報告書「まなざしラジオ!!」をご参照ください。
■関根悠一郎さんのラジオ01 オープニング
■関根悠一郎さんのラジオ02 「船」との出会い
■関根悠一郎さんのラジオ03 船づくりと病のはじまり
■関根悠一郎さんのラジオ04 病をなおす独自のやり方
■関根悠一郎さんのラジオ05 伝えたい大切なこと
■関根悠一郎さんのラジオ06 船づくりは休憩中!
photo by Junichi Takahashi
POST:2020年4月28日